7/04/2010

青に傅く 


夏の匂い、というのは生命の息吹が熱気に絡んでいる、そんな匂いだ。

ヒトも草も一番活動する時期だからか。
色鮮やかな草木に、湿気が絡んで酷く篭った匂いがする。
人工の光や煙、食べ物や汗といったヒトの生活の気配を強く感じる。

そういうものが混じって、夏の空気はひどく間怠っこい

川沿いを歩いていると

仲良く日向ぼっこしている若いカップルの周りを子犬が戯れていたり
ベンチに独り座って小説を読んでいる老人がいたり
白い鳥が水面を撫でるように飛んでいたり
熱心にサッカーボールを追いかけている少年がいたり
子供たちが虫を探していたり
渦中に囚われたタイヤがもがいていたり
のんびりと釣りをしている人達がいたり

する。

ドラマチックだなぁと思う
いろんな生き物の人生の一瞬の休息を見ている気がする
もしかして走馬灯って案外こんな感じなのかもしれない



二十四時間でリセットされる世界で
本当は毎日新しいものを、瞳は映している

昨日の恋人と今日の恋人が同じ人間なのかしらって
半年前に会った友人の中身が変わってたりするんじゃないかしらって

考えて、手を触ってみて
「何?」
って
よかったエイリアンじゃないみたいだ
そういう安心をしてみたりする。

世界が色付いて、見える
全ての景色が新鮮に思える
夏って季節だけは、毎日生と死が繰り返されているんじゃなかろうか
2歩進んで1歩下がるように
生きる事が繰り返されているような気がする。

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