9/03/2010

バタフライ・エフェクト/ユナイテッド93

バタフライ・エフェクト
ユナイテッド93
映画を2つ程見たので、その感想をば。

長くなるので、続きを読む形式にしてあります。

又、作品のあらすじは書いていないので、作品タイトルをクリックするとそれぞれWikipediaに飛ぶようになっています。








バタフライ・エフェクト
号泣、号泣である。
予告にある「君を救うため、僕は何度でも過去に戻る」が作品の全てを語っている。

観ていて全く飽きさせない展開で、主人公が足掻く様子が非常に巧く描かれている。途中から全てが分かってきて、鳥肌もの。

私がこの映画を通して見えたものは、「ハッピーエンドというのはどこかで自分で決めなくてはならない」という事。人生は取捨選択の連続で、選び摘み取って進んでいく世界の端で、捨てられたそれぞれの「もしも」にはパラレルに世界が広がっているだろう。実際に、もしあの時ああいう行動をとっていれば今、私の居る場所は何か変わっただろうか、と思うことは多々ある。
ただ、どうしたって世界は自分の望む”最善”には進んでいかないし、そのために様々な「愛する」不確定要素が邪魔をする。
その中で、どこで折り合いをつけて、何をハッピーエンドとするか。
主人公が得て、失って、決意していくその様が心に響く。感動。

更に、EDの入り方がオアシスの曲と相まって、神掛かっている。
ラストシーンが秀逸な映画として見繕ってきたモノだが、まさにその通り。

ちなみにDVDには別エンドが収録されているが、あんなもんは観なくて良い。監督のコメントも同時収録でそのコメントは非常に正しいのだが、折角のエンディングの汚されるので観なくて良い。

予告編を観たときの期待が裏切られない保障をする。

ちなみに2を観る気は全くないんですが、もし「いや観ろよ」という意見がありましたら教えてください。
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ユナイテッド93
最初にこれは9.11に関しての意見ではなく、あくまで映画の感想であるという事を言っておこう。

ユナイテッド93、という題名からは93便が主なのかと思いきや、内わけは
・同時多発ハイジャックによって混乱した各管制塔・センタの様子 7割
・ユナイテッド93便 3割
しかもその93便がハイジャックされるのは映画全体で6割程進んだ時点である。
前半半分はほぼ、管制塔・防空センタ・航空局等々の情報の混線模様を描いているだけだ。

おそらく内容は想像に易いと思うので言ってしまえば、93便で客の抵抗が始まるのは物語が9割近く進んだ時点で、(不謹慎かもしれないが)「え?こんだけ?」と思ってしまう。
勿論、決意に至るまでの乗客の様子、最期に家族に電話する(飛行機から電話できるって初めて知った)その言葉達は、見ていて何かを救いを強く祈りたくなるような激情に駆られたが……

終わり方もしっくり来ないものがあったし、(notハッピーエンドだからという訳ではなく、全体の作りから考えてももっと上手く纏めて終わるべき。)前半の管制塔・センタの混乱を見ていても、「あ、やべぇハイジャック起こったんだな」という状況でしかなく、CNNニュースの方が未だ”ドラマチック”かもしれない。
ドラマチック、とはエンターテイメントという意味ではないと強調しておく。

結局、この映画は
管制塔等の混乱と、政府(軍)の対応が遅くて相変らず行政ってヤツはダメだなぁ感と
93便の乗客は頑張って抵抗したんですよー
というのを描いていただけだった。

個人的には、この同時多発ハイジャック、という背景にあった思想だとか、全体像をきちんと描いた上で、93便に焦点を当てて欲しかった。事件の政治的な終焉も、エピローグとして語るだけで良いので纏めるべきではなかっただろうか。

という事で、ユナイテッド93は正直「微妙」だった。
しかしてDVD特典のインタヴューや解説がやたら長いので、そちらがもしかしたらこの作品の「メイン」なのかもしれない。

ただ、こういった実際の事件というのはそもそも”ドラマチック”では有り得ず、よど号ハイジャック事件のドラマにしろ、アメリカの虐待事件をテーマにした「隣の家の少女」にしろ、「どこかの日々の中で生きている人間が実際に行動した結果」として事件を扱い、そこから何か考える窓口となる事が、そういった作品の価値(役割)なのかもしれないと私は思う。
ニュースで報じられる、誰が死んで誰が犯人かといった記号のような情報だけでなく、加害者・被害者が共に思考を持ちバックグラウンドを持った人間である、という事をきちんと描けるのは本や映画だからこそだろう。

映画としての面白さを期待して見るのならばお勧めしないが、9.11に関する一資料としての視聴ならば、悪くはないかもしれない。ただ、あくまで「一資料」であり、本作品を観ただけでは9.11に関してほんの一部分しか分からないという事を付け加えておく。

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以上が映画の感想。

そして今更だけど、「精神と時の部屋」タグは、自分が見た様々なものの感想置き場です。
あの部屋みたいに無限の時間があったらなぁ、と思わせるような作品を紹介しています。

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